アウトソーシングスタジアム日本平(番外編)

 日本平はある意味お隣。「Trip」というほどでもないだろ、ということで「NEAR STADIUM」に載せてあるだけでしたが、今回カブを使って遠征してきたということで、ツーリング道中記を番外編としてこちらにまとめることにしました。
 元々清水は私が学生時代に静岡に住んでいた頃、庭のようにしていた街。当時の足は二輪が主でした。今回カブでその街、その往復路を走ることによって、「二輪に乗っていた頃の自分」を思い出して今の自分を「リセット」しよう、と考えました。十分日帰り圏内の清水ですが、じっくり思い出の地を訪ねたいこと、そして何よりトラック等も多い深夜の道をカブで帰るのは心配、ということで、今回はお泊まりに。やっぱり泊まりだと時間的にゆとりを持てますね・・・。

旅行日 2010年7月17日〜2010年7月18日(1泊2日)
観戦スタジアム アウトソーシングスタジアム日本平
観戦試合 ジュビロ磐田vs清水エスパルス
利用交通機関 往路:
全てスーパーカブ利用。カプセルホテルオーシャン泊。
復路:
全てスーパーカブ利用。
 もう少し早い時間に家を出る予定でしたが、出遅れてしまい結局午前10時過ぎになってしまいました。日差しが強くなってきている中、カブを東に走らせます。いよいよ梅雨明け、そしてこの日から3連休。夏の始まりを感じさせる中、昔読んだ片岡義男の小説などを思い出しながら、青い空、わき上がる白い雲の下、風を感じながらアクセルを開きます。この時点ではまだ体力にも余裕があり、風のにおいや日なたと日陰の微妙な体感温度の差などに懐かしさを感じながらバイクを走らせました。
 東方面への難所の一つである天竜川橋の4車線区間をクリアし、磐田バイパスを抜けていきます。ここまではヤマハスタジアムに通った時に既に通ったことのある区間ですが、ここから先は二輪では学生以来。袋井市国本のセブンイレブンで休憩。気合いを入れて更に東に向かいます。
 なるべく学生時代に走った道を使うというコンセプトの下、袋井バイパスや日坂バイパスは使用せず、現在は県道になっている旧国1を通りました。片側一車線のこの区間は車の速度が遅くなるため、流れに乗って走ることができるのですが、中にはやはりこちらを「所詮原付」と馬鹿にして無理に追い越しを掛ける車もいて肝を冷やしました。金谷のバイパスを降りたところで一旦休憩。その後は大井川を越えます。旗指インターまでは川根温泉等を利用する際に車で通っていますが、ここから先はふだんは来ることもほとんどない区間。さらにこちらは110cc、自動車専用道の藤枝バイパスは通れません。ということで野田インターでバイパスを降ります。
 この島田・藤枝区間は交通量が多く、詰まりがちで学生のころからあまり好きではなかった区間です。実際に前の車が信号や右左折で急減速・停車し、こちらも慌ててブレーキということがありました。そしてこのあたりまで来ると時間は正午を過ぎ、日差しも更に強さを増してきました。腕、顔がジリジリと・・・それに伴い疲れも増してきました。しかし、やがて遠くに高草山が見え始めます。あれを越えると静岡・・・そう思うとまた先に向かう力が湧いてきました。
 中山雅史の故郷、岡部(もう町ではないんです。)に入ると、国道1号は再び藤枝バイパスから来る路線と合流します。しかしここからは様相は自分の記憶と一変。車で静岡に来るときは近年はずっと東名利用だったので、その変化に戸惑いました。静清バイパスの丸子インターまですべて片側2車線の高速道路のような道が続きます。あの暗くじめじめしていて渋滞だらけというイメージだった岡部トンネル、宇津の谷トンネルもすっかりきれいになり、みんな80km以上でかっ飛んでいきます。こわいのなんの。疲れもあり、宇津の谷トンネルを出たところにできた道の駅で一旦休憩。市街に入る前に最後の気合いを入れます。
 静岡市内は車で何度も訪ねているので、その変化の多くはわかっています。しかし二輪で懐かしさを感じながらカネボウ通り(この呼び名を知っている人はもはや人生折り返し点過ぎ!?)、産業館西通り(産業館っていつの時代? ツインメッセになって何年? )、SBS通りなどを走らせます。そしてこの画像は・・・知っている人は知っている!? 私がかつて住んでいたあたりです。建物の画像も撮ってきましたが・・・当然建て替えられています。(このことは既に以前に通りかかったときに気づいていました。今時のアパートになっていましたが、たたずまいは以前の雰囲気がそこはかとなく残っていました。
(画像の上にマウスを置いてみてください。何かが起こりませんか? )
 母校を訪ねました。4年前、仕事で訪れたときには校舎にも入り、学食で食事もしましたが、今回は外での画像撮影にとどめ、中には入りませんでした。校門の前でパチリ。しかしこの門、実際に使ったことはほとんどないんだな・・・。
 昼食はこのサイトでも何度か紹介している駿河区池田のシシリアにて。大学近くのさぼおるでドライカレーも、と思ったのですが、そちらは明日に回し、「シシハン」を優先しました。(しかしこの判断はミスだったことが翌日判明することになる。)
 懐かしさを感じながらシシリアハンバーグ(現メニューではハンバーグのホワイトソース)をオーダーしたのですが、頼んでから「二輪に乗っていた頃の自分を思い出す」という今回の旅のコンセプトを思い出しました。「シシハン」は当時学生の自分には何か特別なことがあったときの自分へのご褒美。だったら、通常よく食していた「ベーコンエッグ」をオーダーすべきではなかったかと。とはいえ、出てきたらそのにおいや鉄板の上で焼ける音にすっかりそんなことは忘れ、ホワイトソースを絡めながらおいしくいただきました。
 本来の予定では、清水区内の山原という絶景スポットにも行きたかったのですが、朝出遅れたのと、母校周辺でいろいろ懐かしんでいたのが響いて時間的に断念。今夜の宿をとっている清水駅そばのカプセルホテルに向かいました。
 宿の店構えはいかにも昭和のカプセルホテルという感じ。実際に泊まってみて中も同様。「寝るだけ」なら十分かと思います。スタッフの方も大変丁寧に応対してくださいました。荷物をロッカーに預け、バイク置き場になっている駐車場を確認した後、観戦に必要なものだけ持っていよいよ日本平に向かいます。
 かつての庭、清水。そして何度も足を運んだ日本平。スタジアム自体は行き慣れていますが、バイクで来るのは初めて。駐輪場はすぐにわかりましたが、その狭さと混み具合に戸惑い。私は幸いにも端っこに置くことができたので、出しやすく、また、傷もつけられにくかったのですが、ど真ん中に囲まれておくことになったら、と思うと心配になりました。そしてここからスタジアムまでは結構歩いて距離がありました。あまり二輪で来るメリットを感じられませんでした。
 試合終了後、ここから何十台ものバイクがうなりながら出てくる様子は、まるでベトナムのようでした。(ある意味大迫力。)
 スタジアムに入りました。既に入っていたさる父さんと合流、キックオフを待ちます。しかし・・・西日がきついこときついこと。道中で日焼けした顔と腕にこたえました。
 攻めながらも得点を得られず、しかし失うこともなく、引き分けたというゲームでした。アウェーでけが人が相次ぐ中、まずまずだったと思います。大きな失望の中、宿に帰るということにならなくて、まずはよかったです。泊まりということもあり、少しゆとりを持ってスタジアムで時間を過ごし、宿に戻りました。
 飲みに出られるようにいくつか候補の店をリストアップしていましたが、暑さで汗だくになっていて、日焼けから来る疲れもあり、早く風呂に入りたい、ということでそのまま宿に戻りました。宿のお風呂は汗を流すという面では十分な広さと清潔さでした。ただ、私がカプセル&サウナに求めるのはリラックス。そういう面からは・・・もうひとがんばりかな。
 宿では缶ビール一本飲んだだけで、特に宴会はせず。深酒をしなかったからか、ぐっすりと眠れ、朝の目覚めもよかったです。荷物をまとめ、チェックアウトした後は少し清水周辺を散策することにしました。まずはなつかしの興津埠頭で学生のころのように「港」を感じたかったのですが、最近はセキュリティが厳しくなっているようで埠頭への立ち入りが制限されている様子。同じような制限は日の出埠頭や富士見埠頭でも同様でした。岸壁までたどり着くことができず、しょうがなくフェンスの手前から港を臨みます。
 その後は学生時代に何度も訪れた三保を訪ねました。三保街道のたたずまいはあのころのまま。清水港線の廃線跡から鉄路の名残がすっかりなくなってしまっていたのが残念ですが、あとはあまり大きな変化がなく、バイクを走らせながら懐かしかったです。半島の先端をぐるりと一周した後、灯台横のよく来た海岸にバイクを止めます。
 よく晴れました。青い空、白い雲、そして青い海に数々の船たち、そして遠くには伊豆半島・・・あのころと何も変わっていません。遠州灘に比べると礫が多く、また波打ち際に近づくと急に傾斜がきつくなる砂浜もあのころのままです。(それでもここも海岸の浸食が進んでいるのだとか。)ただ、あのころは時間も、明日の仕事も気にすることなく、ここに寝っ転がってぼんやりしたり、いろんなことを考えたりしていました。今はそうはいきません。そしておそらくこれから先も。
 太陽もだいぶ高くなるころ、県立美術館に回りました。今開催中のトリノ・エジプト展にやってきました。
 紀元前のエジプトの棺や副葬品である彫刻品、いろいろ書かれたパピルスやミイラなど、そして自分の権力を絶対的なものとするために神になろうとした王たち、そしてそんな神や王をあがめる人々の思い・・・、見ていていろいろなことを感じました。
 ストレスを感じるほどではありませんでしたが、結構な混雑。これから行く人は平日を選んだ方がいいかもしれません。
 トリノ・エジプト展の観覧を終え、静岡での予定は全て終了です。帰る前に遅い昼食を取りに、さぼおるへ向かいました。しかし・・・、何と日曜日は定休日だったのです。(昔もそうだったかな?)ということでドライカレーの大盛りは断念。くろんぼの大盛りドライカレーにしようか、とも思いましたが、昨日頼めばよかったと断念したベーコンエッグをいただきに、再びシシリアを訪ねました。お値段が当時よりも少し上がった分、お皿が横長になって少し量が増えたことと、ベーコンが少し厚くなったかな。それから当時はソースの入った器が一緒に運ばれてきて自分でかけていただけたけれど、今は塩で既に味付け済みで卓上にソースはない様子。でも焼きたて熱々ベーコンに半熟目玉焼きの黄身を絡めておいしくいただきました。
 帰りは西日に向かって走ることになり、日焼けがきつい帰り道になりました。行きと同じ道を通り、金谷のミニストップ、そして浜松下飯田のサークルKで休憩を取りながら帰ってきました。天竜川を越えて浜松に入った時、そして浜名湖を越えてHometownに入った時には、初めて静岡からバイクで帰ってきた大学1年の夏の「帰ってきたなぁ」というあの感じがよみがえりました。さすがに少し疲れました。

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