大分スポーツ公園総合競技場
九州石油ドーム・・・Part4

 毎年恒例となった大分遠征。でも今年は秋に体調を崩したこともあり、当初は行くことをあきらめていました。しかし回復への「願かけ」のつもりで交通手段や宿の手配をすることにしました。検査の結果、異常がないことが確認され、体調もほぼ全快したことから、遠征することに決定。4度目の大分ということで、「知らない街を戸惑いながら歩く」という刺激がだんだん少なくなってきたことは事実ですが、それでもなるべく「今までとはちがう」ものを取り入れ、新たな発見を求めて行ってきました。

旅行日 2007年11月22日〜2007年11月24日(1泊3日車中1泊)
観戦スタジアム 大分スポーツ公園総合競技場 九州石油ドーム
観戦試合 ジュビロ磐田vs大分トリニータ
利用交通機関 往路:
JR東海道本線利用で豊橋まで。寝台特急富士に乗り換え、東海道本線・山陽本線・鹿児島本線・日豊本線経由でJR別府駅着。(車中1泊)
別府市内を散策後、別府駅前のホテルアーサー泊。翌日JR別府駅から日豊本線にて大分駅へ。大分駅から大分交通のシャトルバスにて九州石油ドームへ。
復路:
タクシーにて大分空港行きホーバーフェリー乗り場へ。ホーバーフェリーにて大分空港へ。
大分空港からANAにて中部国際空港まで。中部国際空港から名古屋鉄道特急、快速特急で神宮前を経由して豊橋まで。豊橋から東海道本線。
 別府をフルに一日楽しむには、前夜のうちに船、夜行バス、もしくは在来線の夜行で出発するか、当日の朝一番でのぞみ+九州内在来線昼行特急、または飛行機でこちらを出発するしかありません。朝が苦手な私は大分遠征は今まですべて「前夜出発」としてきました。しかし今回は前日に勤務時間終了後までかかりそうな出張があり、その後も職場のボーリング大会が組まれていました。これで船、バスは不可となりました。そのような中、毎晩わが家のそばを通過していて、幼い頃から見送ってきたブルートレイン(寝台特急)に一度乗ってみたい、という思いをもっていたこともあり、今回はこの「ブルトレ」を利用することにしました。大分行きの寝台特急「富士」はかつては単独で運行されていましたが、2007年現在は熊本行きの「はやぶさ」と合同の編成になっています。ヘッドマークも2つの列車のネームが記され、小倉で分離されるまで一緒に連結・運行されます。前半分が「はやぶさ」、後ろ半分が「富士」です。私は豊橋駅から乗車しましたが、浜松駅にも停車します。
 子どもの頃から通過するブルートレインを見送りながら、遠くの街の名前が記された行先表示板を目で追い、旅への想いを募らせてきました。そのころは「あさかぜ」「さくら」「みずほ」「出雲」「瀬戸」(「サンライズ」ではない。)など、今はなくなってしまった列車も走っていて、夜の鉄路は華やかなものでした。しかし高額な料金もあってなかなかこれらに乗車する機会はなく、大学卒業前に友人たちと九州旅行した際に新大阪から「あかつき」(だったと思う。)で佐世保まで乗ったのがブルトレに乗った「最初で最後」でした。
 今回の遠征で「家の近くからブルートレインで旅に出てみたい」という子どもの頃からの願いがかなった形ですが、乗ってみて、デッキ回り、洗面所回りなど、その車内設備の古さに驚かされました。これでもかつては最新鋭でデラックスだったのでしょうが・・・。一言で言うなら「昭和のまま、時代が止まっている」という感じです。「あぁ、昔の電車ってこんな感じだったよな」という「懐かしさ」がプンプン。以前に乗った最新の電車型寝台「サンライズ瀬戸」とのギャップがあまりに大きく、「走る鉄道博物館」という印象でした。
 B個室を予約したかったのですが、発売日の夕方に駅に行ったらもう完売でした。そこで、これまた昔ながらの2段ベッドのB寝台を予約しました。私は上段。窓がなく、下に降りないと外の景色が見られません。下の席には「鉄ヲタ」と思われる親子が陣取っていて、ビデオカメラを回しながらデジタル一眼で写真を撮りまくっていました。そのため私は通路に仮設シートを引き出し、乗車前に購入した缶ビールと缶チューハイを飲みました。関ヶ原あたりまで外を眺めて過ごした後は、はしごを昇ってベッドへ。ベッドの質は向上しているのか、学生の頃に感じた寝心地の悪さはありませんでした。仕事で疲れていたためかもしれませんが、翌朝までぐっすりでした。
 目が覚めるとまだ外は薄暗かったですが、列車は広島を出た後で、車窓からはおだやかな瀬戸内海、そして瀬戸内の島々の間から昇る日の出を拝むことができました。しかしここで入った車内放送に驚きました。途中で前を走っていた貨物列車が鹿をはね、その影響で26分遅れているとのこと。さすが在来線、こんなこともあるのです。そしてこの遅れはその後さらに拡大していくことになります・・・。
 
 昨シーズンの遠征時に乗車した「ムーンライト九州」と同様に下関と門司で機関車の付け替えを行います。しかしこの列車の場合はさらに小倉駅にてこれまで併結してきた「はやぶさ」と「富士」を切り離す作業があります。進行方向側の「はやぶさ」を先に出発させ、残った「富士」に機関車をつなぎます。作業の様子をカメラを抱えた「鉄ヲタ」が取り囲みます。(私も!?)
 ここからは「富士」のみの単独運行になります。ヘッドマークも「富士」単独のものになりました。このヘッドマーク、以前は東海道でもつけられていたものですが、今は「はやぶさ」との併結のため、九州の小倉-大分間でしか見られなくなってしまいました。寂しい限りですが、夜行高速バスの台頭や飛行機、新幹線の値下げなど旅客輸送環境の変化から来るブルートレイン全体の退潮という現状から考えれば、「廃止されずに運行されているだけまだよい」のかもしれません。将来の九州新幹線全線開通時にはおそらく「はやぶさ」は廃止されることでしょうし、その時はこの「富士」も道連れ、ということになるものと考えられます。(実際に一部報道ではJRは2009年春のダイヤ改正でこれらを廃止する方針としているとのこと。)JRにとって寝台特急は「お荷物」になりつつあるのでしょう。車内設備の老朽化に何ら対応しないところも、あと1年ちょっともてばいい、という投げやりな理由なのでしょう。「利益を産まないものはやめてしまう」・・・何か寂しい気がします。  
 JRがいかにブルトレを冷遇しているかは九州に入るとよくわかります。後からきた「ソニック」などの昼行特急の方が優先され、追い抜かれていくのです。悔しいというか何というか。何だか幼い頃に読んだ絵本「きかんしゃやえもん」を思い出しました。
 そうこうするうちに、別府湾が見えてきました。遠くに由布岳や高崎山のシルエット。長かった往路も終わりに近づきつつあります。
 別府駅に1時間数分遅れで入線した寝台特急「富士」号です。いつも我が家の近くを通過していく「富士」号が豊橋から別府まで私を運んでくれたわけで、わがHometownと別府は確かに鉄路でつながっている、ということを実感できる旅となりました。去っていく「富士」を見送りながら、私が再び「ブルートレイン」と呼べるものに乗車できる機会はこの先あるのか、とも考えてしまいました。効率のいい乗り物ではないのでしょうが、旅情を誘う「夜汽車」というのは民営化されたJRにおいても存在し続けてもいいのではないかな、と思う私は理想主義者なのでしょうか・・・?
 別府に着いた時には既に正午を過ぎていました。途中で朝食を買わなかったため、空腹です。足は「いつもの」三つ葉グリルへ向かいました。慣れたもので迷わずに到着。しかし・・・店は大混雑。最近は「予約」を入れた方がいいようです。入り口で待たせていただき、今年もとり天定食を生ビールとともにいただきました。甘辛く、ステーキソースのようなスパイシーなタレがかかったやわらかいとり天は変わらず美味。ビールによく合い、おいしかったです。今年もおいしくとり天定食が食べられる健康に、本当に感謝です。
 昼食後、バスで柴石温泉に向かいます。柴石温泉に向かうバスは一路線しかなく、本数も30分に一本。昼食前に時間を調べておき、それに合わせて三つ葉グリルを出ました。北浜のトキハ前から亀川駅経由の鉄輪行き亀の井バス(26番)に乗車します。
 亀川駅を過ぎ、山道を走り始めるとあと少しです。「柴石」というバス停で下車し、バスが去っていった方向に向かって坂道を登ると、「柴石温泉」と書かれた看板があるので、川に沿って上流方向に進みます。やがて写真のような建物が見えてきます。料金は210円。建物はまだ新しく清潔です。内湯がぬるめ(と言っても結構熱い)と熱めの2つの浴槽、そして外に露天風呂があります。洗面器といす、シャワーのついたカランを備えていますが、シャンプーや石けんはないので、持参する必要があります。
 柴石温泉から先ほど乗ってきた路線のバスに乗り、鉄輪に向かいます。鉄輪に向かうにせよ、駅に戻るにせよ、いずれにしてもバスは30分に一本しかないので、柴石温泉に向かう前に、バスを降りたら帰りの時間を確認しておく必要があるでしょう。
 画像は亀の井バスの鉄輪営業所すぐ横の「いで湯坂」の光景。かなり静かで穏やかな町なみに見えますが、夕方になると宿に向かう宿泊客や地元人、宿へ人を送るタクシーや物品を搬入する業者の車などで大混雑し、危険すら感じました。
 平成18年に新築されたばかりの鉄輪の蒸し湯に到着です。新しい蒸し湯は男女別になっています。かぶり湯を浴びた後は貸しゆかたを着て(自分でTシャツ・短パン等を持ち込めば、貸しゆかた代は不要になります。)タイマーを受け取り、石菖が敷き詰められた蒸し湯に入ります。薬草の上に横たわり、10分間安静にしていると体中から汗が噴き出てきます。また、呼吸をするたびに蒸気で蒸された石菖の香りが肺へと入っていきます。効きそうです。10分経って蒸し湯から出た後、上がり湯をいただき、風呂から出ました。外は日が傾き、黄昏があたりを包み始めていました。
 2つの湯を「はしご」してかなり疲れました。バスの中でウトウトしながら街へ戻り、宿に入りました。ホテルの中にもいい温泉があるのですが、こちらは翌日の朝風呂に回すとして、別府温泉のシンボルである竹瓦温泉に向かいました。闇の中にたたずむどっしりとした建物は風格たっぷりです。宵の口のお風呂にとっての「ゴールデンタイム」ということで、結構人が入っていましたが、混雑というほどではなし。なお、周囲はネオンと客引きの歓楽街。結構ディープです。お気をつけて。