長崎県立総合運動公園陸上競技場 その1

 磐田がJ2での戦いを余儀なくされた2014シーズン、失意の中ではありましたが、ぜひとも行きたいアウェーがいくつかありました。その一つがここ、九州長崎でした。大学4年生で初めて、そしてその直後に就職1年目の職場の旅行で訪れて以来ずいぶん長いことこの街を訪れていませんでした。その間に原爆資料館は新しくなり、出島周辺も再整備が進んでいるという話を聞いていました。J2での戦いにも苦戦し、このチームとの向き合い方に疑問を感じている中ではありましたが、これら街の変化を見に行きたいという思いで遠征を決めました。あれから20年以上、変わったところ、変わらないところ、その両方を楽しみながら、それでも記憶の中に残っている街の仕組みを思い出しながら、まち歩きを楽しんできました。

旅行日 2014年9月13日〜2014年9月15日(2泊3日)
観戦スタジアム 長崎県立総合運動公園陸上競技場
観戦試合 Jリーグディビジョン2 ジュビロ磐田vsV・ファーレン長崎
利用交通機関 往路:
JR東海道本線利用で豊橋駅へ。豊橋駅から東海道新幹線にて名古屋駅へ。名古屋駅でのぞみ号に乗り換えて博多へ。博多からかもめ号で鹿児島本線、長崎本線を経由してJR長崎駅へ。初日は出島阿蘭陀商館跡や稲佐山展望台を長崎電気軌道や長崎バス、稲佐山ロープウェイなどを利用して訪ねた後、築町電停で下車。ドーミーイン長崎泊。
2日目は築町電停から長崎電気軌道で大学病院電停で下車、山王神社二の鳥居、原爆資料館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館 、平和公園等を訪ねた後、再び長崎電気軌道に乗車し、長崎駅へ。JR長崎駅からJR長崎本線に乗車して諫早へ。諫早駅前バスターミナルから長崎県営バスの路線バスを利用して競技場北で下車。徒歩にて長崎県立総合運動公園陸上競技場へ。
復路:
長崎県立総合運動公園陸上競技場から徒歩にて場所不明のバス停へ。長崎県営バスの路線バスにてJR諫早駅へ。往路と逆の経路で長崎駅へ。そこから長崎電気軌道で思案橋などに寄りながら築町電停へ。ドーミーイン長崎泊。最終日はチェックアウト後、築町電停から諏訪神社電停へ。眼鏡橋などを経由し徒歩で亀山社中記念館などを回り、再び長崎電気軌道で長崎駅へ。往路と逆の路線でかもめ号、のぞみ号、こだま号を利用し、東海道本線で帰宅。
 豊橋駅から新幹線に乗車しました。当初はJR東海の「のぞみ早特きっぷ」とJR九州のネット早特を利用してもう少し安く上げるつもりだったのですが、J1自動昇格が絶望的になった磐田などのために3日も九州へ(しかも、夏にも博多に行っている。)出かけることがいいことなのか、なんて悩んでいたため、切符を買うのが遅くなり、「早特枠」での指定席を確保できなくなってしまいました。(座席はまだ空きがあるのに、早特枠は数が限定されているらしい。)結局、通常料金に往復割引・乗り継ぎ割引を利かせる形で切符を購入しました。この後、名古屋でのぞみに乗り換え、博多に向かいましたが、さすが3連休初日、広島までは指定席も結構な混雑でした。
 博多から在来線特急のかもめ号に乗り換えます。こちらも指定席は完売で、自由席は大混雑。指定を買っておいてよかったです。
(ただ、女子旅グループ3人の中に一人オジサンが入り込む席割りとなり、何かお邪魔してしまったみたいで申し訳なかったです。私も自由に動けず、何か居心地が悪かったです・・・。)
 この日、朝は7時前に出発しました。しかし長崎はさすがに遠い。着いたらもう14時過ぎ、秋の太陽は既に傾き始めていました。今は新幹線にその名を譲った寝台特急さくら号が走っていれば、夜行で朝着となり、もう少し早い時間に着いて観光できたかな、と思いました。
 駅にはどん詰まりの終着駅によくある、このような光景が。ああ、本州の西の端の終着駅に来たのだなぁ、と実感しました。
 ここは豊橋駅前ではありません。雰囲気がよく似ていますが、長崎駅です。大きなビルやきれいなホテルなどが増えましたが、この雰囲気は学生の頃に初めて訪れた時とあまり変わっていませんでした。路面電車、本当に郷愁を感じさせます。
 遠征の楽しみの一つにご当地グルメがあります。今回食べたかったものにトルコライスという料理がありました。ピラフ(チキンライス)とナポリタンの上にとんかつを乗せるというこの意味不明な料理。そもそも豚を使うところから絶対にイスラム教徒の国であるトルコ料理であることはあり得ないはずなのですが、なぜこの名前が!?
 宿泊先のドーミーイン長崎です。ビジネスホテルですが、大浴場、そしてカプセルルームもあり、今回カプセルルームでリーズナブルに2連泊しました。カプセル内にコンセントもあって携帯やタブレットの充電もでき、また、暗証番号で保管する貴重品ロッカーや、キーがないと入れないカプセルゾーンなど、セキュリティ面でも充実していて、よかったと思います。立地も新地中華街のすぐそば、また、築町電停のすぐそばで、観光の拠点になる場所で便利でした。
 荷物を預けた後、すぐそばのこちらを訪ねました。宿方向から見たのとはちょっと向きがちがいますが、この向きの方が形や雰囲気がわかると思って選びました。どこかわかりますか? 出島阿蘭陀商館跡です。左側が昔の海岸岸壁跡で、右側が扇形に埋め立てられた出島の手前側に当たります。
 オランダ商館長の住まい(だったかな?)の復元です。私が学生時代にこの辺りを訪ねた時は周囲が完全に埋め立てられ、倉庫が建ち並んでいて、地名に「出島」とついていなければその跡だとわからないぐらい、「らしさ」は全くありませんでした。その後、発掘・そして一部復元を進めたようですが、それは正解だと思います。まだ全体の復元は完成していませんが、かなり雰囲気が戻ってきていると思いますし、中にはいろいろ学べるものが展示されていました。
 その出島跡から3分ぐらい歩けば、現在の長崎港に出られます。偶然、その江戸時代の黒船の雰囲気が残るような帆船(もどき? )が停泊していて、ちょうど出港していくところでした。
 築町の電停で石橋方面行きの電車を待ちます。この路面電車は長崎観光には欠かせない交通機関です。これだけで十分市内の観光地を巡ることができ、経路もわかりやすいのです。かつての名古屋市電を思わせるレトロなこの色、どこか懐かしさを感じます。
石橋方面行きの市電に乗り、大浦天主堂下で下車します。行き方の表示を見つけられなかったのですが、電停からの人の流れについていきながら土産物屋が連なっている道を歩いて行くと、天主堂の下に出ました。大浦天主堂、正式名は「日本二十六聖殉教者堂」で、二十六聖人に捧げられた教会です。
 日本最古の天主堂であり、国宝。世界文化遺産暫定リストへの掲載が決まっています。内部の撮影は禁止されているので画像はありませんが、厳かです。
 大浦天主堂から続いていく道を進み、屋外のエスカレーターを上っていくとほどなくグラバー園の入口に到着しました。長崎観光では欠かせない、グラバー、リンガー、オルトの3氏の旧邸があった敷地内を公開しています。この旧グラバー住宅は日本に現存する最古の洋風建築で国の重要文化財に指定されています。左に見えているソテツは旧薩摩藩主から贈られたもので樹齢300年とか・・・。
 旧グラバー邸前から長崎港を臨みます。太陽が西の空に傾き始め、少しずつ夕暮れの気配が辺りを包みつつある中、なかなかいい雰囲気です。
 グラバー園を出て、電停に向かって元来た道を歩き始めました。すると、前方からジャージに身を包んだアスリート風の2人が坂を登ってきて、土産物屋の店先で立ち止まり、商品を見ながら何やら話していました。この日の長崎は、国体の水泳競技の期間中で、街中でも各県のネームが入ったジャージを着たスイマーたちのグループをいくつも見かけていましたが、その2人のアスリートはなんと私が見覚えのある人物でした。背番号4と背番号19、片方は出場機会すらなかったもののワールドカップ日本代表という人物です。試合前日に敵地に入り、夕食前に散歩をしていた、という感じでしょうか。。周りの何人かはそれに気づいてヒソヒソ話している観光客たちもいましたが、大方の人たちは気づいていませんでした。ここに彼らがいるということは、もしかしたら泊まりはあのホテルか? と思ってそのホテルの周辺をのぞいてみたら、こんなトラックが駐車場に泊まっていました・・・。
 すっかり日が陰ってきました。長崎駅前まで戻り、ロープウェイ乗り場を目指します。宿で風呂に入って早めにのんびりする方がいいかな、と悩みましたが、なかなか来られる場所ではありません。せっかくなので「世界3大夜景」を観るためにロープウェイに乗りました。
 あのライブ以来、稲佐山といえば福山雅治、というイメージですが、長崎出身の彼にとって、ここでライブをやる意味ってのは大きかったんだろうな、と来てみて感じました。「世界3大」としてモナコや香港と並べるのはあり? なし? と思いましたが(あとの2つはいずれも行ったことない)確かにキレイ。もう少し色がきらびやかだったら言うことなし、だと思います。
 稲佐山を下った後は路面電車で思案橋へ。電車通りの一本内側にある思案橋横丁沿いの「康楽」(「カンロ」と読みます。)へ。あるものを食べたくてタブレットで検索したら、いくつかある中にここがあったので入ることにしました。
 その、食べたかったあるものは、もちろんちゃんぽん。夕食がまだでしたし、一杯やりたい気分だったので、餃子をいただきながらビールを一杯やった後、「そぽろちゃんぽん」をいただきました。魚介や肉、野菜の旨味がじんわりとしみ出たスープに中太の麺、その上にはしゃきしゃき感を残した野菜や肉、椎茸やマッシュルーム、キクラゲなどなど・・・おいしくいただきました。