平成22年夏・伊勢神宮参拝

 カブを手に入れてから、ずっと温めてきた計画をついに実行することになりました。静岡から2つも向こうの県までのツーリングです。海も越えていきます!! 行き先は伊勢神宮。陸路で行くと名古屋や四日市といった大都市圏の交通量の多い国道をほぼ丸1日走らなければなりません。とても日帰りは無理です。でも、この旅を日帰りで実現させるのに最高の「足」(ひれ? )があるのです。それは「伊勢湾フェリー」。伊良湖岬から鳥羽まで55分。最高です。ツーリングに船旅が加わると、乗っている間、楽できるのと同時に「非日常感」も味わうことができます。これはツーリングじゃなくてもサッカーの遠征でもそうですが。ということで、終わりゆく夏を惜しんで、気分はプチ「どうでしょう」。同級生のToYoPaPaさんやおしょうさんと一緒に朝早くHTB前駐車場ならぬ、某文化財の来訪者駐車場に集結。夜明けが遅くなってまだ明け切らぬ午前5時、西に向かって出発しました。

実施日時:2010年8月23日
行き先:三重県伊勢市 夫婦岩 伊勢神宮外宮 内宮
 午前5時、某文化財の来訪者駐車場に3台の原付2種が集結しました。ベンリィ、モンキー、そしてスーパーカブ。もう少し明るいかと思っていましたが、この時期の午前5時は既にこのような暗さ。東海道から国道1号に向かって夜が明けきる前の町を心地よい排気音を響かせながら西に向かって走り出しました。
 途中から国道1号を離れ、国道42号へ。割合若い国道番号を与えられているにもかかわらず、時間帯のせいか通る車はほとんどなし。左右に赤茶けた土の、どこか欧州っぽい田園地帯の中を我々のバイク3台だけが西へとかっ飛んでいきます。出発して約1時間、ちょっと手にしびれが来かけたところで赤羽根漁港のすぐ横の道の駅「あかばねロコステーション」で休憩です。(ただし、建物はまだ始まっていません!? )東の空に雲から透けて見える丸い太陽が少しずつ高度を上げてきていました。
 赤羽根からは30分少しぐらいだったでしょうか、道が細くなり、急な坂道が表れると伊良湖が近づいてきた兆しです。一気に数十メートル登り、海をはるか下に見ながら(と言いながら見ている余裕はない。車の助手席の人は絶景を楽しめることでしょう。)崖っぷちのワインディングを大きく右カーブすると、今度は見えてきた恋路ヶ浜に向かって一気に下っていきます。ジェットコースターのような道路です。案内標識に従い、道の駅「伊良湖クリスタルポルト」へ。大きな疲れもなく、危険な思いをすることもなく、無事にフェリー乗り場に到着です。思っていたより順調だったので、時間的にかなり余裕があり、きっぷ売り場もまだ営業前。しばらく時間をつぶしました。
 125cc以下のきっぷを購入し、ランプを昇って係員の指示に従って壁際にバイクを停めました。バイクに毛布を掛け、その上からビニールのベルトを締めて固定します。フェリー会社によってやり方はちがうのでしょうが、こちらはこのようなやり方でバイクを固定しているようでした。固定が終わった後は荷物を持ってキャビンに上がります。朝一番の鳥羽行きは車輌甲板の2/3ぐらいが埋まっていました。9月末の廃止は何とか免れたものの、これぐらいの乗船率では元が取れないのでしょうか。
 いよいよ出港ということで、デッキに出てみました。後方に白い航跡を残しながら、伊良湖の港が小さくなります。いよいよスーパーカブ、三重への伊勢湾口横断の船旅が始まりました。
 三河港はもちろん、名古屋港や四日市港など、大きな港がいくつもあるだけあって、超大型の貨物船や巨大なLNGのタンクを搭載したLNGタンカー、仙台からやってきた太平洋フェリー、海保の巡視艇、そして漁民のみなさんのシラス船など、いろいろな種類の船がこのフェリーの進路を横切ります。
 航路の左右に大きな島が連続して見え始めてくると、航海はいよいよ終盤です。帰ってきてからネットで知ったのですが、これらの島々が渥美半島に向かって連なっているのは、諏訪湖、鳳来方面からつながってきている中央構造線と関係があるのだとか。なるほどね。
 時計が午前9時に近づくと、いよいよ海の向こうから山影、そしてその海岸に沿って立ち並ぶホテルなどの観光施設などのビルディング、最後に個人の家並みなどが見えてきます。鳥羽に到着です。
 乗船時とは反対側のランプウェイが開き、車が動き出しました。我々二輪は乗船時に一番に乗れたのと真逆で、下船時は最後です。四輪が全部出払ったのを見届けた後、係員から指示が出されます。降りるとそこは別世界。案内標識も賢島とか伊勢とか・・・三重県に着いたことを実感します。
 案内標識にしたがって国道42号(そう。静岡県の湖西市から始まって渥美半島を貫き、我々が伊良湖まで走ってきたあの42号の続きが、海を越えてつながっているのです。)を走ります。目指すは二見。初詣中継でよく出てくる、大きな岩と小さな岩の間に注連縄をめぐらせたあの夫婦岩です。伊勢神宮参拝はまずここに参ってから、外宮、内宮とめぐるのが正しい参拝だとか。この夫婦岩の向こうにご神体である興玉神石が沈んでおり、手前の二見興玉神社がその拝殿となっているようです。神社に参拝した後、その裏手に回り、近くから夫婦岩を見てみました。
 次に訪ねるのは外宮です。内宮と外宮は同じ神宮でありながら、結構離れています。案内標識をたどりながら外宮を目指します。
 外宮のご正宮です。ご祭神は豊受大御神。天照大神のお食事の世話などをされた食事・穀物の女神だそうです。唯一神明造という日本古来の方法で造られています。鳥居の向こうでは撮影禁止。ということで、手前からパチリ。気づいたのですが、ここは賽銭箱にふたがありません。常に神職の方がすぐ横で見てらっしゃるからでしょうか。そして参拝の前に鳴らす鈴もありません。(これは内宮・外宮のご正宮・別宮すべてありませんでした。)正面には白い布がかけられ、直接奥が見通せないようになっていて、厳かな雰囲気が漂っていました。
 ご正宮の前にある三ツ石はこの外宮に多大な力を供給しているパワースポットだとか。画像を撮影しておけばよかったです。そこに手をかざしてパワーを受けた後、別宮も回りました。石段を汗をかきかき昇った上にある多賀宮の前です。別宮の中では一番格が高いそうです。
 ひととおり外宮を参拝した後、内宮に回りました。駐輪場にバイクを停めた時、気がついたことが。停まっているバイクは先ほど内宮の駐輪場で見たものと同じバイクたち。関東方面のナンバーでしたが、この人たちも順番に回っているんだな、と感じました。(これはその後、別の驚きにつながります。)
 バイクを停め、一度おはらい町やおかげ横丁などの門前をざっと流して見て確認した後、食事等の前に参拝です。宇治橋鳥居をくぐり、俗界から聖界に渡るための宇治橋を渡ります。
 こちらも別宮を回っていきました。風日祈宮(かざひのみのみや)といい、五十鈴川を渡った所にひっそりとありました。風の神を祀る宮で、鎌倉時代に蒙古が襲来した時に2度にわたって神風を吹かせ、日本を救った神だそうです。
 外宮もそうでしたが、本当に深い森。大変暑い中でしたが、木陰には涼しさがあり、何か特別な空気が漂っているように感じました。
 そして・・・いよいよ内宮のご正宮にやってきました。正式な名前は皇大神宮、ご祭神は天照大御神です。やはり神聖なる場所ということで、こちらも石段からは先では撮影禁止。そのはるか下から撮影をしました。かなりの人でしたが、こちらも厳かな雰囲気で、心が洗われるようでしたした。
 参拝の後はおはらい町、おかげ横丁で食事&休憩です。昼は冷やし伊勢うどんを食べましたが・・・詳細はパス。(理由はお察しください。温かいのか、何ならToYoPaPaさんがオーダーしていたカレーうどんにするかしておけばよかった。)その後、みやげを探しながら歩いた後、赤福本店の向かいにある赤福経営の茶屋に寄りました。
 お目当ては赤福氷。抹茶の蜜がかかったかき氷なのですが、食べ進めていくと・・・このように下から赤福が現れます。(これは食べ進めていった後の画像です。最初は赤福は見えていません。)抹茶氷と混ぜながら食べるとおいしく冷たい、不思議な味わいです。あんこの苦手な私もすっかり完食。体温も下がったような気が。
 一服し、みやげも買い、いよいよ帰路に就きます。宇治橋鳥居の前の駐輪場が空いたということで、そこにバイクを移し、鳥居をバックに記念撮影です。(伊勢までバイクで来たな、ということが伝わってくる画像です。)
 帰りは山の中の道を走り、鳥羽市内へ戻りました。車も少なくて快適。途中で内宮・外宮で見かけたあの関東方面のバイクのみなさんと遭遇。向こうも気がついたようで「どこを回ってきましたか? 」などと聞かれ、一言二言会話を交わしました。そのみなさんは我々よりも1つ前のフェリーに急ぎで乗り込んだようですが、私たちは鳥羽港で時間をつぶし、16時のフェリーに乗ることにしました。
 乗船の時間が近づき、バイクをフェリー乗り場内の駐輪場へ。積み込みの関係上、今回も乗用車に先立ち我々が一番乗りでした。
 帰りはカーペット敷きの船室でごろ寝。しばしの休息をとって伊良湖からの帰路に備えました。ウトウトしているうちに伊良湖到着。ランプが開き、出発です。
 フェリーを下りたところにある道の駅「伊良湖クリスタルポルト」の前で船中で話題になっていた作手村のフランクフルトを売っていました。同行の和尚さんが早速購入。少し味見をさせていただきました。ものすごくジューシー。潮見坂の道の駅でも時々売っているようなので、今度買いに行ってみたいと思います。
 伊良湖に着いたとはいえ、まだまだここからは1時間以上。夕闇迫る中、来たときと同じ国道42号をひた走り、家路を急ぎました。朝よりも車が多く、少々気を遣いました。19時過ぎに家に着いた時にはカブのメーターは1,076.9km。本日の走行距離は153.3kmでした。無事に帰ってこられて何よりです。
 カブを家に置いた後、同行のToYoPaPaさん、そして和尚さんと一緒にトラック食堂「しらはま」へ。ここの名物のホルモン、豚バラ肉をコンロで網焼きしながら生ビールをいただき、「反省会」です。疲れた体にビールが染み渡りました。いいツーリングでした。