レベルファイブスタジアム

 このスタジアムを訪れるのは3度目です。毎回、スタジアムグルメと、スタジアム外の博多街中グルメが楽しみで、磐田が福岡と同じカテゴリーに入った時には、何とかスケジュールを合わせて遠征できないものか、楽しみにしていました。今季もそうでした。しかし、開幕当初から楽しみにしていたこの遠征を、2つの大問題が邪魔をし、結果として虚しい遠征となってしまいました。一つは台風11号の直撃、そしてもう一つは予想外の磐田の大敗でした。2014シーズン、この夏休み唯一のお泊まり遠征でしたが、何とも言えない惨めなものになってしまいました・・・。

旅行日 2014年8月10日〜2014年8月11日(1泊2日)
観戦スタジアム レベルファイブスタジアム
観戦試合 Jリーグディビジョン2 ジュビロ磐田vsアビスパ福岡
利用交通機関 往路:
東海道本線利用で豊橋駅へ。豊橋駅から名鉄名古屋本線、常滑線で常滑駅へ。台風でその先が不通のため、代行バスで中部国際空港へ。中部国際空港からANAにて福岡空港へ。福岡空港から西鉄シャトルバスにてレベルファイブスタジアム着。
復路:
レベルファイブスタジアムから西鉄シャトルバスにて福岡空港へ。福岡空港から福岡市地下鉄にて中洲川端へ。ウェルビー福岡泊。翌日は徒歩にて櫛田神社、その後福岡市地下鉄にて箱崎宮前へ移動し、筥崎宮に参拝。さらに西鉄電車大牟田線、二日市駅で乗り換えて太宰府線を経由して太宰府駅へ。太宰府に参拝後、往路を逆にたどり、西鉄博多駅へ。西鉄博多駅から福岡市地下鉄にて福岡空港へ。福岡空港からANAにて中部国際空港へ。中部国際空港から名鉄常滑線、名古屋本線で豊橋駅へ。以後、東海道本線。
 J2のスケジュールが明らかになった時から楽しみにしていた福岡遠征でした。夏休みのお盆直前ということで、休みも取りやすいのでぜひ行きたいと思い、帰省ラッシュも考慮して、早めにANAのチケットを押さえました。(JRだと、指定席が取れるのが1か月前からで、争奪戦になりそうだったので今回は飛行機を選択。)8月が近づいてもこの日は仕事を入れないよう、自分なりに調整をしてきました。しかし・・・1週間ぐらい前から、雲行きが怪しくなり始めました。それは台風11号の来襲でした。時間を合わせたかのようにのろのろ状態で北上し、まさにどんぴしゃりのタイミングで最接近したのです。家を出る時点で既に私の乗る437便は遅延が決定していましたが、欠航と決まったわけではないし、JR、名鉄も動いていたので、予定どおり出発しました。画像は空港に向かうために、神宮前で乗り換えた空港特急のμスカイです。
 名鉄神宮前駅で、空港特急のμスカイの指定券を取ろうと窓口に申し出たところ、常滑から空港まで動いていないという情報が。それでももしかしたら、このμスカイが常滑に着くまでの間に状況が変わるかも、とかすかな希望をもちながら乗り込んだのですが・・・残念ながら状況は変わらず、常滑駅で電車の運行は打ち切り。そこから先は、名鉄が用意した代行バスでセントレアラインを通っての空港入りとなりました。でも、これがさらに強風でセントレアラインが閉鎖されていたら・・・と考えると、それでも橋を渡ることができてよかったと思いました。
 空港には着いたものの、私の乗る437便は早朝の時点で遅延が決定していました。おそらく台風が通り過ぎるのを待っての出発としたいのでしょう。確かに滑走路に降りてくる飛行機は1機もなく、この空港はまさに閉鎖状態のようでした。ロビーで待っていると、他の便が続々と欠航になっていくのがアナウンスされています。福岡便も、437便より前の便はすべて欠航、そして私の次の便も欠航と、不安な情報だけが飛び込んできます。延々とあてもなく搭乗口の前で時を過ごしながら、本当に437便は飛べるのだろうか、という心配に包まれての待ち時間でした。
 9:50の出発が正午になり、さらに13:15になった時には、これ以上遅れたら間に合わないかも、とあきらめかけもしました。ホテルをキャンセルするにはどうすればよかったか、などと考えていたら、乗務員やグラウンドスタッフが動き始めました。搭乗開始のアナウンスが出発ロビーに響いた時、安堵の声があちこちから上がりました。
 叩き付けるような風雨が幾分和らいだかのような状況の中、搭乗が始まりました。でも、ボーディングブリッジが風で大きく揺れるなど、やはりまだ厳しい気象状況なのだということを、乗り込む瞬間に感じました。私の命をこの機のパイロットと地上スタッフに託すのだな、と感じながらの離陸でした。
 離陸すると見る見る間に空港建物が小さくなっていったかと思うと、ほどなく白い雲の中へ。視界ゼロの真っ白な中をしばらく上がっていくと、やがて雲の上へ。眼下にはじゅうたんのような真っ白な雲がぎっしり。さすがに宇宙レベルの高さまで上がっているわけではないので、渦までは見えませんでしたが、この雲は台風の一部なのだろうな、と思いながら雲の流れを見ていました。
 青空広がる穏やかな上空から高度を落とし始めた飛行機は、再び雲の中へ。上昇時よりも長い時間、視界ゼロの時間が続いたかと思うと、今度はこれから降りる町並みが見え始めました。市街地から離れていない福岡空港は、本当に街に降りていく、という感じです。窓から高速を走る車、歩く人がはっきりと見えるようになってくると、いよいよ着陸です。
 手荷物を受け取り、外に出ると既に時計は15時半。予定では、到着後に福岡市博物館で開催中の黒田官兵衛展を見て、それからスタジアム入りするはずでしたが、残念ながらそれはパス。予定していた水炊きの昼食を食べる時間もなく、そのままスタジアムに向かうことにしました。
 ここから歩いて10分ちょっとのレベルファイブスタジアムですが、雨も降っていたし、待ち疲れもあったし、ということで、この写真の右側にあたる空港前の反対側のバス停から出るシャトルバスに乗車しました。
 スタジアムに入りましたが、細かい雨が降り続いていて、少し風もあったため、屋根付きのメイン、バックスタンドでも、通路から前は雨が降り込んでいるような状態でした。磐田サポの中心部隊はこんな中でも、しっかりゴール裏に陣取り、始まるまではスタンドの裏に待避しているという状態でした。
 私自身はS自由席というバックスタンド全体と、メインの端っこに入れるチケットだったので、雨を避けてメインスタンド側の通路より奥に席を取りました。座って見たい磐田サポの地帯、という感じでしたが、一部福岡サポも入り込んでいて、感じが悪かったです。(反対のホーム側で見ろや。)
 ここレベルファイブの楽しみは毎回感心させられるスタジアムグルメです。今回も夜の中洲のように多くの屋台が店を出していました・・・が・・・。初めて訪れたときに比べると、だんだん出されているものが焼きそばやたこ焼き、唐揚げや串焼きなどの「普通のもの」が多くなっているような、いわゆる博多らしいものが姿を消しているように感じました。唐揚げや串焼きの鶏肉が博多らしいといえばそれまでだけれど、別に地鶏を使っているわけではないだろうし。前回あった明太子やきくらげなどが入った揚げはんぺんの店はなくなっていました。
 そんな中でおいしかったのが、この炭火で焼いた串焼きです。ジューシーでやわらかく、おいしかったです。どこぞのコンビニの焼き鳥とはちがうなぁ。噛むたびに出てくる肉汁がおいしく、ビールによく合いました。
 なんてものにうつつを抜かしていて、私のサポートが足りなかったからでしょうか。いやいや、どう考えても選手のパフォーマンスはひどいものがありました。1-3の惨敗です。1失点目の伊野波なんかひどいのなんの。敵にボールが渡るのを、そこにいたらその後何も手が打てない、という場所ですっかり見過ごし(この時点で私は勝負あったと思ってました。)相手に振り切られ、そしてゴール前のプレッシャーがかからないやつにまんまとパスされ、決められるだけ、という始末。逆に全く攻撃は組み立てられず。情けない限りです。この日ここにいたサポがどんな思いをして九州までやってきたか、選手たちは全くわかっていない、そんな感謝も何も感じられないゲーム後の挨拶でした。ブーイング? 当然でしょう。
 当初のプランではゲーム後は中洲の屋台で福岡ならではのおいしいものをいただいて宿に戻る、という計画でしたが、とてもそんな気分にはなれませんでした。空港行きのバスから地下鉄を使って中洲川端まで戻ったら、あとは私の福岡での常宿であるカプセルホテル、ウェルビー福岡に直行でした。サウナに入りながら、また湯上がりのビールを宿の中のレストランで一杯やりながら、何がいけなかったのか、とか、これからこのチーム、このクラブとどう向き合うべきなのか、とか、そんなことを考えながら過ごしました。
 翌朝はホテルから徒歩5分程度のところにある櫛田神社に参拝しました。ここは前回に次いで2度目ですが、博多の総鎮守を訪ねないわけにはいかないと考え、訪れました。山笠は終わってしまいましたが、ここが日頃から博多の人から大切に思われているということが、境内の手入れを見ても伝わってきます。
 今回で3度目となる博多遠征ですが、初めてのところを回りたい、ということで、今まで一度も訪れたことのない筥崎宮を訪ねました。京都の石清水八幡宮、大分の宇佐神宮と共に日本三大八幡の一つとされてて、筑前国一宮となっています。一の鳥居は黒田長政の、楼門は小早川隆景が建立したとされ、その楼門には「敵國降伏」という言葉が扁額として掲げられていて、そのあまりにストレートさにドキッとさせられました。これは元寇の時に亀山上皇が祈願したもので、醍醐天皇の宸筆とのことです。ちなみに本殿、拝殿は大内義隆によって建てられたようですが、この楼門から中には入れないので、ここでお参りさせていただきました。一応、戦いの神様でもあるということで、磐田の再建もお願いしてきました。
 もう一つ、初日の午後に行く予定で行けなかった福岡市博物館に行ってみましたが・・・残念ながら月曜日ということで休館日。博物館自体は初めての福岡訪問時に立ち寄ったことがあるのですが、結局、黒田官兵衛展は見られずじまいでした。仕方なく、隣の福岡タワーに昇ってみました。ホークスタウン方向を臨みます。
 天神でお昼をいただきました。水炊き、もつ鍋、博多ラーメンという今回のグルメ3大目的を一つも達成できていないということで、博多華味鳥というお店に入りました。ここは一人用の鍋があるという情報を得ていたので、看板を見てすぐに入店。水炊き御膳を注文しました。はじめはスープだけすくって一口ゴクリ。あぁ、しみこむ・・・昨夜の嫌なことも全部癒やされるような、やさしい味。鶏の風味が口の中どころか、全身に染み渡っていく感じでした。そして鶏のぶつ切りやつくねをいただくのですが、これまたおいしい。肉は柔らかいし、つくねは噛むたびに味がしみ出て食感も心地よく、ここまで博多らしいものを食べられずにいながら、最後にいいものをいただきました。
 さて、飛行機の出発まであと5時間。残り少なくはなってきましたが、市内もだいぶ見尽くした、ということで、ここであえて西鉄電車に乗って福岡市内を出ることにしました。特急を二日市で乗り換え、天神から約30分、太宰府にやってきました。お盆休み前の平日とはいえ、これだけの人。やはり全国から多くの人たちが訪れているのだな、と感じました。私もしっかりと心を改めてお参りさせていただきました。
 実はここを訪れるのは初めてではありません。この牛、見覚えのある人!!
 そう、卒業・就職を控えた大学4年の春、卒業旅行で九州を旅したとき訪れたことがありました。その時、この牛の周りに集まって、友人たちと腹だの頭だの、あちこちをさすったことを思い出しました。903年、都から左遷されてきた菅原道真公が当地で亡くなった時、遺骸を乗せた葬送の牛車が動かなくなってしまい、牛が動かないということはそこにとどまることを道真公が望んでいるのだとして、そこに葬ったことから、牛は天神様の神の使いだと考えるようになったとのことです。
 飛行機の時間を気にしながらの太宰府訪問だったので、参拝だけで精一杯で、残念ながらすぐ隣にありながら九州国立博物館に入る時間はありませんでした。往路と逆路線をたどって西鉄で天神に戻った後、すぐに地下鉄に乗り換えて福岡空港へ。お土産を買ってチェックインしたら、もうあまり時間はなく、ここで最後の食事をする時間すらありませんでした。
 屋台、本場のもつ鍋、本場のラーメン、九州国立博物館・・・やり残したことはすごく多いような気がします。そして何より磐田というチームクラブへの思い。帰りの飛行機の中でも、そして家に帰った後も、どう向き合うべきなのか、考えずにはいられませんでした・・・。